Shelby

紙の月のShelbyのレビュー・感想・評価

紙の月(2014年製作の映画)
3.4
お金は人を変えてしまう。以前そんな言葉を耳にした覚えがある。
これはまさにその言葉がピッタリの作品。一つの過ちから、どんどんと坂を転げ落ちてしまう。ゾッとしてしまった。
だって誰しもが一歩間違えれば同じようなことが起こってしまうから。
そして、かつて自分にも主人公と同じような思いをしたことがあったから。
少しだけ、少しだけ。後で返すから。
そう思って実際に行動に移すかどうかの違い。それだけで、この作品のように犯罪に発展してしまう。

お金を持つことで一時の自由を得られるかもしれないけれど、決して幸せになれるわけではない。確かに選択肢は広がるし、それなりに買えないものはなくなると思う。
ただ、お金を持つリスクもそれ相応にあることを、覚えておかなければならない。
それを考えると、それなりのお金で幸せになれる道を選んだ相川が本当の意味での勝ち組なのだろうなと思えてしまった。

あれだけ貧窮していたにも関わらず、心優しい青年だった光太も、人が変わったようにお金を当たり前と思うようになってしまう。お金は、人ひとりを簡単に変える力を持っているのだ。

本当にこれだけ身近で、ゾッとする話は久々だったなあ。自らに警鐘を鳴らす意味合いでも、観ておいて正解。決して観た後に、気分が良くなる作品ではないけどね。
Shelby

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