くろいひと

グレート・ビューティー/追憶のローマのくろいひとのレビュー・感想・評価

4.2

ひとりの老作家の眼をとおした、享楽の街であり聖なる都であるローマ。
あるいは、ローマといういやおうなく歴史と記憶のうえに存在する場所のなかでえがかれる人間の姿。

聖なるものと俗なるものがこれでもかと紡がれるその映像の圧倒的なちからに感服する2時間半。
そのどれもが重層的な意味を含有しながら、メタファーとして語ることをかたくなに拒み、見るものにひたすらそのまま迫ってくるのはフェリーニ譲り。

ひとの人生は、はたして語りうるのか。
まさに「ただのトリック」たる映画のみが可能なものを見せてくれる傑作。
くろいひと

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