マリオン

フライト・ゲームのマリオンのレビュー・感想・評価

フライト・ゲーム(2014年製作の映画)
3.5
飛行中の飛行機で起こる連続殺人に連邦保安官が立ち向かうサスペンス。いわゆるよくある航空サスペンスなのだが、手堅くしっかりと航空サスペンスの面白みが出ていて、それでいてしっかりアクションも見せてくれるという普通によくできた映画だった。

まずとてもよかったなと思った所が疑心暗鬼の煽り方がとても上手だと思う。現金を振り込まないと20分に1人誰かが殺されるという脅迫を受けた主人公のビルは96時間のお父さんのようにグイグイと捜査を進めるのだが、だんだん自分が犯人に仕立て上げられるという策略にハマっていく。飛行機という密室の中にいる誰かが犯人であるという主人公側からの疑心暗鬼と暴走しているようにしか見えない主人公が犯人なのではないかという一般乗客側の疑心暗鬼がだんだんお互いに膨らんできてついに交錯してしまうのだ。

だが正直に打ち上げることでお互いに理解し結託が生まれるという展開は見ているこちらもアガるポイントだと思う。作中自分のプライバシーの部分を打ち明けるというシーンがいくつか見られ他人にパーソナルな部分を見せるというのも一つのテーマだと思う。そして犯人が明らかになるとどうしても尻すぼみになってしまうのを防ぐために最近のリーアム・ニーソンのイメージらしいアクション+航空パニック要素で押し切る。これがまたいい意味でジェットコースターのような勢いで見ていて飽きない。

演出面でもメールでのやり取りの可視化もシャーロックみたいで洗練されていたし、怪しそうな乗客も搭乗前からそれとなく人物像を描写し飛行機内でも細かい動きが怪しく感じるように作られていたのもよくある手法だけどうまいなと思った。

そして最近スティーブン・セガール化が進んでいるリーアム・ニーソンもいい感じにやさぐれた男でよかった。彼のおかげでただ強い男ではなく人間味のある役になるのだからやっぱりすごいなと思う。少しシルヴェスター・スタローンみたいな傷つきながら頑張るみたいな風格に近いのかもしれない。脇役にジュリアン・ムーアとかルピタ・ニョンゴなど地味に豪華だ。あとジョン・オットマンのメインテーマもかなり好みだった。

すごく斬新とか目新しさはないけれど、手堅く普通に面白い航空サスペンスとして十分合格点だ。何も考えずに身をゆだねられる楽しい映画だ。
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