ルサチマ

わくわく不倫講座 楽しい不倫のススメのルサチマのレビュー・感想・評価

3.5
周りほどは乗れず。しかしそれでも確かにこれはAVではなく実験的な映画である。
ドキュメントとして記録してるホームビデオの映像が長いため前半でかなりダレたが後半に時間を10年後、20年後とすっ飛ばしてきたのでオッとなった。
AVというフィクションと不倫という非日常的な営みを現実に求めていた平野とAV女優の志方の関係が、志方が行方をくらませてからその非現実性の脆さが露わとなる。
平野は彼女の幻影に取り憑かれ、宇宙と交信したり、手の甲を切るなどの行為を取ることで、なんども現実を非現実世界へと侵食させようと試みるがそんな行為は儚くも無駄なものとして終わる。
時間を飛ばすという力技のフィクションで再び彼女と再会するも、彼女の存在はかつての幻想とはかけ離れた姿をしているわけで、ここにフィクション世界に現実が侵食するという前半とは真逆の減少が起こる。
ここからようやく映画としてこの作品が定義されるような描写が映し出される。
奇病を患った未来の志方を海へと連れて行く時、モンタージュによりかつての志方の存在が幻想的に挿入されるが、目の前にいるのは別人の志方である。
キャスト自体が別人である上に性別さえも違うこの志方と名乗る人物を我々はこのモンタージュの挿入によりこの映画の大嘘を真実として受け止めるしか無い。
嘘こそが、しかしそれはフィクションに浸かってきた平野が現実に戻るための装置として役割を果たしている。
ルサチマ

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