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奪還者のkasparのレビュー・感想・評価

奪還者(2014年製作の映画)
4.4
なるほど、「人以外殺さないよ映画」っつーことっすね、
オープニングで、ハエが飛び回って鼻の穴に入ったりしてるのに払いもしないワケですが、もちろんそれは精神状態を現わしている表現ではあるんやけど、一方で虫は殺さないよ!っつーことでもあるんすね、

まったく躊躇せずに殺されたアヤツが、その直前にやった行為とか考えると、これは完全な○○映画っつーことです(ネタバレなのかな?一応伏せとこ)

あ、監督は、「アニマルキングダム」のデビッド・ミショッド、撮影は「シルビアのいる街で」のナターシャブライエです。

相変わらずデビッドミショッドは上手過ぎて引くレベルにあるわけですが、案外本作の評判は悪いのは、すでに観客がついてけないレベルになってしまった(説明不足が行き過ぎた)っつーことなのかもね。
お話の説明を極端に減らして、場面場面の強さで映画を成立させる(映画の推進力を保つ)やり方は、個人的にはかなり好きなんすけど、まぁもちろん自分にも説明不足の限度はあるわけで、その辺の線引きはかなり難しいっすよね。
説明不足の映画には傑作もあるけど、説明しすぎの映画に傑作は存在しないだけにね。

オープニングの横転する車
30分後のショックシーン

この2つ秀逸なシーンによって、いつ何が起きるかわからないという緊張感を観客に持たせることで、2時間魅せ切る映画なわけです。
この感情の伏線(観客に植え付けた緊張感)により、なんて事ない画が美しく輝き始めるわけです。以前「シルビアのいる街で」でも書いたんすけど、映画の美しさは「物語(時間)の流れの中にある」なんすよね、

あれ、なにを書こうとしてたのか忘れた。
ま、傑作ですね、

「アニマルキングダム」よりもより不安定に進化した娯楽映画という、どんどん観客をおいてけぼりにするであろう進化をしてるがいいね(いいのか?)

映画館で観たかったな、これは、
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