アロユニ

世界の果ての通学路のアロユニのレビュー・感想・評価

世界の果ての通学路(2012年製作の映画)
4.1

自分が幸せ者であることを忘れてはならない。


「学校に行く」

おそらく多くの日本人にとって、それはなんてことない普通のこと。なんなら、ちょっと面倒くさいことだったりする。
 
でも、世界には危険を犯してでも、勉強するために学校へ通っている子供たちがいる。



この映画を観て流した私の涙は、彼らを憐れんでのものではない。

「こんな大変な想いをして、かわいそう」と一瞬頭をよぎったのは事実だが、それは上から目線の施しに過ぎない。


何かできるわけじゃないけど、彼らの人生をひたすらに応援したいという気持ち。

一方で、日本という国で義務教育を受けてきた自分がどれだけ幸せ者だったのかということを痛感した気持ち。

一生懸命に学校へ通う子供たちの姿が、心の琴線に触れていった。



教育を当たり前のように受けられる。

こんなに有難い環境があるからこそ、この国では"少年革命家"たる「不登校YouTuber」が一定の支持を得ながら活動ができるのだろうが、これが「豊かさ」ゆえであることを忘れてはならない。


義務教育を「絶対の善」とは言わない。彼らを「かわいそう」とも言わない。

でも、国の文化やシステムのおかげで、一定レベルの教育を受けられたことが"当たり前ではなかった"ことを再認識できた。


「夢はパイロット」と語った少年。少なくとも、その想いはもうすでに世界へ飛び立ち、遠い異国の私の心にも"着陸"した。
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