物語世界の基盤に、人間達が、しっかりと両足を突き立てて立っている、という感覚は希薄で、なんというか、たしかに物語世界の基盤に、沢山の人間達が、立っているのだが、彼らの立っている地面は、かなりフニャフニャで、それこそ粘土やスライムのアレみたいな感じで、だから彼らが、何処かへ向かって、あるいは何かをやろうとして、歩き出したその瞬間に、“地面”が音も立てずきわめてなめらかに変容しつつ、そうやって数々の珍妙な人間達を包み込み、立たせている、という妙な、アンバランスな感覚があって、俺はこれが、ほんと心地よかった。