中国映画の底力をまざまざと思い知らされる力作。原作小説が有名らしいが、盲目の整体師たちの青春模様を重厚且つリリカルな映像で綴ったロウ・イエらしい不条理な物語に仕上げている。
前作『スプリング・フィーバー』同様にドグマ95を思わせるゲリラ撮影により現代中国を生きる障害者の若者のやり場のない「生」を克明に記録した叙事詩モノとなっている。抑圧される側の痛みや葛藤が伝わってきて大いに泣ける作品。ロウ・イエの前作と比べ、作風が少し明るくなった気がする。
見えない故に見えるモノがある。それは人間の愛や真実の心。手で触れて確かめ、まさぐり合う整体師たちの一筋の希望を描いた現代人の孤独を掬うように捻出した中国映画らしいドッシリした作風が見応えのある切ないヒューマン・ドラマ。多数の人間関係だけに焦点を当てておりストーリー性は希薄。