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6才のボクが、大人になるまで。の1121のレビュー・感想・評価

4.6
12年間に及ぶ制作期間、イカれてるし、それだけでも観る価値のある映画。
実際に、俳優陣は歳をとり成長を重ねていく。だからこそ、多くは語らなくても事情は読み取れるし、そのリアリティさが面白い。
酸いも甘いも経験していく子供たち、最後のメイソンの卒業式には、みる側にも子供が巣立っていく感覚と心からのおめでとうという感情を抱かせてくれた。
母親の最後の言葉はグッとくるものがあった。悲しいに決まってるんだよな。

子供だけじゃなく親だって共に成長していくところがこの映画に厚みを持たせていて、心を揺さぶられるのはこの部分に多く感じた。
自分の親だって自分だって他人だって多分そんなもんだと思う。
離婚して新しいパートナーがいても、変な男ばっかり捕まえていても愛と優しさの溢れる両親だ。特に父親と息子の関わり方は、まさに理想の親子像だったし、この映画の大好きなシーンはやっぱり父親とのシーンばかりだ。

これだけで終わらないのがこの映画の素晴らしいところで、とにかく魅力的なショットが多すぎる。親父との野球観戦、キャンプ、ライブ、母親の最後の言葉、メイソンの旅立ち、本当にリアルでナチュラルな目線、だからこそ美しい。
物語に大きな山や谷がなくてもグッとくる多幸感に包まれるようなカットが沢山あるということ、これは映画として素晴らしいことだと思う。
悲しいとか嬉しいとか楽しいとか苦しいだと愛だとか全ての感情が12年分の思いが撮るショットに詰まってて心を振るわされた。


地味な映画かもしれないが、これはとてつもない傑作だと思う。
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