TaroSonoda

6才のボクが、大人になるまで。のTaroSonodaのレビュー・感想・評価

5.0
2014年公開ですが、今年観た映画の中で1番好きな映画です。
また有楽座最後の公開作品であり、僕が観た数日後に有楽座が閉館したので、内容とは別に大変感慨深い作品となりました。


この映画は、邦題の通り少年メイソンが6歳から18歳の大学生になるまでを描いた物語です。
まず驚くのが12年間同じキャスト・スタッフで地道に撮影していったことです。これは相当な根気がなければ完成出来ないと思います。
物語の結末は特に決めていなかったそうで、脚本も即興で作られていったそうです。しかしながら、12年間分の膨大な撮影量の中からしっかりしたストーリーが編集されていて、単なるドキュメンタリーではなく、1つのエンターテイメント作品として成立しているのがこの作品の1番素晴らしい所だとおもいます。

同じキャストを使っているだけあって、時の流れに対する説得力があります。例えば、声変わりや皺の数など、どうしても特殊メイクでは表現しきれない説得力があります。
また時代の移り変わりを表すものとして、ゲーム機器が使われています。僕はメイソン君と同年代ですので、その点も感慨深かったです。

ストーリーに関しては、前半胸が苦しくなるようなハードな展開がありますが、中盤からは穏やかな成長物語で、人によっては眠くなると思います。
しかしながら、むしろその「普通」な物語が誰にでも当てはまる普遍的なものだと思います。
家族、友達、恋愛、学校生活、そして進路…
この映画で描かれていることは、どれも「普通」のことですが、その一瞬一瞬が実は大切であると教えくれます。それはラストシーンのセリフが全てを表していると思います。

この映画は、音楽が非常に素晴らしいです。オープニングのColdplayの「yellow」やエンディングのArcadefireの「deep blue」など音楽ファンとしては泣ける選曲のオンパレードとなっています。
また、途中お父さんがメイソンへの誕生日プレゼントを渡すシーンもビートルズ愛に溢れていてニヤニヤが止まりませんでした笑

3時間近くもある長い映画ですが、もっともっと観ていたいと思わせる作品でした。

これからも何回も見返したい大好きな映画です!
TaroSonoda

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