主要キャストの成長を実際の過程も含めて12年間撮り続けるという、恐るべき難業に挑んだ作品。
そもそもこんな無謀な企画が通ること自体有り得ないし、キャストが12年間健康のままでいられる保証などなにもない。
子役の場合ぐれたり別の道に進む可能性もある。
それらを含めて監督のリチャード・リンクレイターはこの挑戦に成功する。
有り得そうな展開に嘘がないのは実際のキャストが成長しているからでもある。
その時々の流行を取り入れつつ、家族間は揺れ動く。
別れた子供たち二人は妻と新たな夫と共に成長していくし、別れた夫もまた別の女性と人生を作っていく。
時間という概念をここまで濃密に感じ取るのは初めてだ。
子供たちの成長と同時に、親は明らかに年を取っている。
特に妻役のパトリシア・アークエットの体型の変わり様は見もの。
過酷な人生が我が子に投げかける言葉は非常に重い。
でもそこには確かに愛情もある。
アカデミー賞では「バードマン」に蹴散らされた格好だが、この映画が完成したこと自体すでにリンクレイターは勝利しているのである。