しゃり

6才のボクが、大人になるまで。のしゃりのレビュー・感想・評価

4.6
主人公が6才から18才になるまでの12年間を、その家族含めキャストを変えずに毎年撮り続けた作品。
12年間もあったらスキャンダルとか、誰かがやりたくなくなったりするリスクが十分にあることを考えると、これだけでものすごく価値がある。

見終わった後は、正直、長いし退屈な場面が多かったなっていう印象だった。
母親の男選びの下手さにイライラしたし、後半は眠くなった。

でも批評家さんが《主人公はメイソンではなく、時の流れそのもの》と表現していて、人生はハイライトじゃないということに気付かされた。

そもそも、自分も親戚になってホームビデオを観ているかのような錯覚を起こさせる所がこの作品の面白さで、そこにはドラマティックな展開も、大きな事件もない。
人生に要約なんて必要ない。一瞬一瞬のシームレスな積み重ねだからこそ、尊く意味がある。
このメッセージを収めるには2時間半は短すぎるくらい。

特に母親がメイソンを大学に送り出すシーンが印象的だった。
子どもにとっての12年間と親にとっての12年間の意味の違いを描き出している。ここでも、主題はあくまで時の流れであって、メイソンの成長物語でも母親の育児記録でもないことが示唆されている。

キャスト交代が無いことはもちろん、派手な場面展開や年代の説明は一切無く、とても自然に12年間をつないでいる。
代わりに、オバマ大統領選とかトワイライトとか、あぁ、あの頃かと分からせるやり方が観てて楽しかった。

単純にスカッとしたいとか、泣きたいとかいう時にはおすすめできないけど、観る価値のある映画。
しゃり

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