蛸

パディントンの蛸のレビュー・感想・評価

パディントン(2014年製作の映画)
4.3
まず、この映画に満ち満ちているであろう幸福感を予感させる見事なオープニングが観客の心を掴む。

とてもユーモラスで、ステキな演出(シームレスで幻想的な回想シーン、フリ/オチの効いたコミカルなやりとり)にも関わらず、故郷を失い、ロンドンに出てきたパディントンは明らかに難民のメタファーとして描かれている。そして、そのことが娯楽映画としての強度を高めている。

英国に纏わる映画(『メリーポピンズ』や『007』シリーズ、『第三の男』)に対するささやかな目配せも心憎い。

メリーポピンズとは違う形ではあるが、最終的にパディントンも一つの家族を救ったことになる。
この映画において描かれる他者性に対するアプローチはとても理想主義的なもので、そこには清々しさすら感じられた。

何はともあれ、幸福感に満ちた素敵な映画。
蛸