パドゥ

複製された男のパドゥのネタバレレビュー・内容・結末

複製された男(2013年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ジェイク・ギレンホールの映画にハズレなし!
不思議な感覚の映画でぐいぐい引き込まれた。
タイトルから「月に囚われた男」みたいなSFぽいものを想像していたら、原作が小説ってことで文学的な作品だった。
邦題がミスリード!

蜘蛛がメタファーで出てくるので、カフカの「変身」が頭にちらつくのだけど、原作には蜘蛛は出てこず、アンコウらしい。
映画的には蜘蛛の方がいい。

住んでる高層の大世帯マンションや高速道路の映像、アダムの講義の内容やメアリーとの倦怠期感、母親との関係、ブルベリーなど、随所にじわーっと滲ませるような作りがいい。

リアルか妄想かどっちかなーと思いながら観てたけど、蜘蛛の顔をした全裸女性のシーンで、半分ほど妄想なんだろなぁと思えてきた。
アダム(本当の名前はアンソニー、大学教師)がリアルでヘレンと結婚していて、俳優(ペルソナってこと?)がかつての自分、欲望の表れかな。メアリーはズルズル続く浮気相手で、父になるので関係を清算中。
2人のマンションの外観が同じに見えて、一瞬どっちの家?って思わされたり。

地道に働いて奥さんと子供と暮らすことにそんなに怯えと嫌気があるなら、結婚しなければいいのに、とか、俳優してても売れなかったのだから、才能もないとスパッと諦めればいいのにとか思ってしまった。
そういう男の人のエゴの話なのかな。
小説はもっとその辺、深く書かれているのだろうか?

蜘蛛は邪悪な心を捕えるものとしてのメタファーかと思っていたけど、調べると街並みに急に現れる巨大蜘蛛は、ルイーズブルジョアのママンというタイトルの彫刻で卵も抱えてるらしいから母性(ヘレン)なんだなぁと。
それでラストにヘレンが蜘蛛になるのも腑に落ちた。
あのシーンはいきなりすぎて、一瞬は?てなってしまう(笑)

2回目みたら講義の内容の意味深さや、ヘレンが切り取られた写真なんかにも気づいてまた楽しめた。
パドゥ

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