小石川書店

日々ロックの小石川書店のネタバレレビュー・内容・結末

日々ロック(2014年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

率直に言うと、非常に残念。

「ロック=自由、革命、青春」といった毎度の構図は別に良いのだけれど、『日々ロック』が描いたマインドは、「これってロックっぽいだろ」といっなようなチープなものにしか見えなかった。

それは『スパイナル・タップ』や『スティル・クレイジー』、そして『SRサイタマノラッパー』シリーズが描いたマインドとは、似て非なるものだと思う。

滑稽なほどかっこ悪い現実に追い詰められ、いよいよ絶望的な状況に陥っても、成功しなくても理由なんかなくてもかっこ悪くても、それでもやっぱり音楽が好きだと叫ぶこと。

『SRサイタマノラッパー』は言い訳が出来ない程、かっこ悪く追い詰められていた主人公たち。
どん底のどん底で、最後の最後に「でもヒップホップをやろう」とライムしたあの熱い想い。

対して『日々ロック』は全く同じことを表現しようとしているのに、全く伝わらない。
それは、この作品がロックっぽさだけを描いた空虚なものだからだ。
“牧歌的で甘ったれたロック絵本”だからだ。

何故、ロック絵本なのか。

それは主人公たち(というか登場人物たち)が終始甘やかされているからだ。
この作品には厳しい現実が実は全く描かれていないのだ。

そして、全て記号的な登場人物たちが拍車をかけている。
記号的過ぎてキャラクターの奥行きが全く感じない。

正直、『SRサイタマノラッパー』シリーズを撮った入江監督の作品とは思えない出来で非常に残念だった。

ここはあくまで推測だけど、功罪は漫画原作の方が大きいのではないかな…

やっぱり、しがらみが多くなったのかな…

でも、漫画原作だからって、全部、漫画的に演出すりゃいいってもんじゃないでしょうに…
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