ゆっきー

石の微笑のゆっきーのレビュー・感想・評価

石の微笑(2004年製作の映画)
4.0
再見。実家暮し会社員と、一見メンヘラだが芯は通ってる女の話。傑作。良い映画とは現実に対しどれだけ微かなズレを見せられるかだ、という気持ちにさせてくれる。冒頭、レストランを訪ねたマジメルが電話する背後で店員がずっと微動だにせずワインの瓶の箱をもったまま階段に立っている。
マジメルと母の2人の顔がアップの状態で画面に収められる冒頭のショット、母に似てると言われる石像とマジメルが向かい合う横顔のジョットで彼のマザコン気質を暗示させるのも上手い。後の石像へのキスはその念押し描写でしかない。

母を棄てた恋人が乗っていた車がジャガーからルノーへグレードダウンする描写なぞも、夜逃げのように引っ越した恋人の懐の寒さと見栄を暗示していたりと、なかなか細部が豊かで楽しめる。

スメットが隠していた腐った死体の造形も素晴らしい。
シャブロルは死体を撮ることについては凝っている。
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