繕い裁つ人のいち麦のレビュー・感想・評価

大量に生産され消費されていく服に対し、着る人に合わせ仕立てられリフォームされながら一生着続けられる服への深い深い愛着。安易に媚びたりブレたりしない硬派なテーマに胸のすく場面や揺さぶる場面があり見応え十分だった。
抑えに抑えた中谷美紀の清楚な演技にこちらまで背筋が伸びる思い。構図と色彩の決まった美しいショット。劇伴を極力抑え代わりにその静寂の中に細やかに配された風や鐘の音、布を針が刺し糸が滑る音。録音・音響もイイ。