新作ＤＶＤレンタル。人類で初めてエベレスト登頂を成し遂げた男たちを取り上げたドキュメンタリー映画。それは1953年の出来事で、今から60年以上も前の話だ。映画は、当時の映像と再現ＶＴＲを織り交ぜ、本人もしくは、その子どもたちの証言によって語られていく。当時、先進国が国を挙げて初登頂を競っていたことや、その偉業が養蜂業のニュージーランド人と、地元ネパール人のシェルパリーダーによってもたらされたことなど、興味深い事実が明かされる。標高9000メートル近い領域に自分の体１つで登頂するその挑戦は、まさに人知を超えたものであり、人類初の月面着陸と同じインパクトを感じた。「人間の限界を超えなければ成し遂げられない」と いう言葉がすべてを物語る。「死を決める」と書いて「決死」という言葉が何度も頭を反芻する。再現ＶＴＲがとても秀逸で、その状況を説明するに留まらず、観る者に体感させるほどの迫力がある。猛吹雪の8500メートルの崖っぷちでテントを張る恐怖、山頂間際で重い酸素ボンベを背負い、絶壁をよじ登る苦難。どの体験も想像を絶するものであり、それを超えた先にある光景に息をのんだ。【65点】
