FukiIkeda

HUNGER ハンガーのFukiIkedaのレビュー・感想・評価

HUNGER ハンガー(2008年製作の映画)
3.9
今もなお未解決となっているアイルランド問題だが、舞台は80年代初頭の北アイルランド。2000人以上もの民が殺され、サッチャー首相により、テロ組織として弾圧され、政治犯としての身分や権利を奪われ収監された獄中のIRAのメンバー達。
自らの糞尿を使うなどあらゆる手段を使って抗議するも、変わる事がなく、いずれ死を決したハンガーストライキへと向かっていく。
ファーストカットから、これは!と思わせる何やら不穏なゾクゾク感。

ハンガーストライキは、本人だけでなく、衰弱していく姿を間近で見なくてはいけない人や家族にとって拷問でしかない…。
死んでしまっては何もできなくなってしまうという思いはあるけれど、そこまで追い詰められてしまっていたという事。

ハンガーストライキ部分は本当に目を覆いたくなるほど、苦しさが伝わってきたけれど、糞尿での抗議時代?は、最初にナレーションが入っていても、これ糞尿って事か…ってちょっとワンテンポ遅れて理解するくらいで、実際はむしろ目も当てられない程の情景だったのだろうな、と。

いつも思うが、失敗すれば(変わらなければ)テロだが、成功すれば革命と呼ばれてきた闘争は歴史上いくつもあって…
戦争だって、勝った国の正義が通用するわけで。
テロという言葉の恐ろしさを改めて感じた。
それこそ、テロ等準備罪とか、等って何だよ!?って感じだし、返って凄く暴力的に感じてしまう。
本当は誰にとっての脅威なのか…こういう事を言っているだけで危険人物と見なされたりしてしまうんじゃないか、とか。
戦争や闘争においての正義はそれぞれ違うわけだからね…。
正義を振りかざした暴力ほど怖いものはないと思うんだ。
FukiIkeda

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