もとまち

許されざる者のもとまちのレビュー・感想・評価

許されざる者(2003年製作の映画)
4.1
三池崇史がいちばんイケイケだった頃の傑作ヤクザムービー。抜群に面白い。超絶ガビガビな画質とドグマ95ばりにブレッブレなカメラワークが、画面に独特の情緒をもたらしている。古ぼけた質感がやけにエモい。漫画チックなヤクザの生態をドキュメンタリー・タッチで描いているのが新鮮で、虚構性とリアリズムのバランスが実に巧妙。武智鎮典の脚本には時代錯誤的なクサさがあるが、役者に自然体の演技をさせることで上手く釣り合いをとっている。藤竜也の「こっち向くなよ」でカメラがパンするのをやめたり、回転テーブルに合わせてクルクル回転したりと、何気に実験的なショットも多い。3時間近い長尺とあって、友情・暴力・銃撃戦が盛りだくさん。見所を語るとキリがないんだが、とにかく加藤雅也と北村一輝のバディが最高。「俺カタギっすよ」なんて言っておきながらノリノリで銃をぶっ放す北村一輝の狂犬ぶり。ボジョレーヌーボーイッキ飲み、懸垂一万回のあとの「いや嘘でしょ」とか。サラッとしたユーモアが面白すぎる。「あなた疫病神なんですよ」とズケズケ言っちゃうのも良いし、それを聞いてヘラヘラしてる藤竜也も本当に良い。一生ラリってフラフラしてる石橋蓮司も。みんなキャラクターが良すぎて青春映画のような爽やかさ。
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