けーはち

I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIEのけーはちのレビュー・感想・評価

3.4
想定外にも可愛いの洪水のような「萌え」。そして「尊い」映画であった。

★本作、メインの粗筋は以下の2つ。

①ダメなチャーリーブラウンが頑張ってちょっと男を上げる
②スヌーピーがタイプライターを拾って冒険小説を書く(そしてその世界の妄想に浸る)

邦画の感覚だと、①②を絡ませて愛犬と人間の友情物語として無理にでも辻褄を合わせ、ひとつの感動大冒険モノにしてくると思うが、さすがスヌーピー、そんなものはどこ吹く風と、本作中①の話と②の話は、ほとんど無関係で、一本の映画とする意味はない印象を受ける。もちろん①は何の取り柄もないと思った自分の良さを再発見してくれる友達って良いなあとホロッとさせられる話だし、②の活劇っぷりはそこらの劇場アニメを寄せ付けない出色の出来なんだが、いかんせん、バラバラなのである。

★しかし本作を見ると「まあ、そんな堅苦しいことはどうでもいいからチャーリーブラウンはかわいいし、ペパーミント・パティたんは萌え〜」と言いたくなってしまう。本作はキャラがそれだけ魅力的に描けているアニメーション映画だと思っている。

★本作のペパーミント・パティを見て、私は『ToLoveる』の籾岡理沙を思い浮かべたのだ。『ToLoveる』というのは、以前に週刊少年ジャンプで連載されていた、主人公の高校生男子リトが大勢の女子高校生にハーレム状態で、ちょっとHなトラブル(ラッキースケベ)に見舞われるエロコメ漫画なんだが、籾岡というのはその中では副ヒロインにもならない、たまに出てくるクラスメイトの一員。活発、奔放、ギャル系な、肉体性を感じさせる、セクシーなキャラで、女子に免疫が無い初心なリトにパンツを見せるなどの性的な挑発をして遊ぶが、そういう遊び半分のちょっかいを行う都度、じわじわ本気になりそうな、そんなところに私は「萌え」を感じる。

★いや、籾岡の話はどうでも良い。「ルーシーが古手川さんなのか……」とか、そういうことも良いの。原作『Peanuts』のキャラ造形はあまり良くは知らないんだが、少なくとも本作で、カートゥーン調のキャラなのに私は脇役のペパーミント・パティからそういうキャラ造形を想起し(対象年齢が低いから性的挑発は控えめだが)「萌え」を感じているってことだ。

★そして、それは「萌え」に留まらない。アニメ・漫画などのオタクが「キャラやキャラ同士の関係性が美しく、神聖にして、侵し難いと感じた」場合それを「尊い」と表現するのだが、そう称するに相応しいキャラ同士の交流・関係性がある。可愛いし「萌え」るけど、あまりに純真にして、おじさんには眩しい。ゆえに「尊い」のだ。