びび

ムカデ人間3のびびのレビュー・感想・評価

ムカデ人間3(2014年製作の映画)
3.5
この作品に出てくる人間が、誰一人として正常な判断ができてないのが1番のギャグ。
強いて言うなれば、ムカデ人間を鑑賞させられた囚人たちが阿鼻叫喚しているシーンと、本物のムカデ人間(あとその改良版)を見せられて吐いちゃうトムシックスだけは人間として正しい反応を見ることができます。
それ以外は、欲求の赴くまま囚人を拷問する所長も、ムカデ人間のフォーマットを囚人たちの統制のためにウキウキで提案できちゃう会計士も、所長に借りがあるとはいえ医療免許もなしにトンデモ手術を施してしまうヤブ医者も、なによりメタ的に出演するトムシックスも、全員が全員狂ってる。

シリーズを振り返れば、「1」は狂気に満ちていながらどこか気品すら漂うハイター博士の信じる"芸術"を見ることができた。「2」はそんな博士に見せられた孤独な青年の苦悩、それ故に暴走する歪な"愛"を感じた(いずれにせよ最悪なのに変わりはないのだけれど)。
「3」はその系譜を引き継いでいる素振りだけで、それらを徹底的に破壊し、「ムカデ人間ってそういえばバカバカしい話ですよね」ってことを再認識させてくれる。何も高尚な美学や崇高な愛の物語なんかではなく、"人のクチとア○ルをくっつけてムカデ人間を作りましょう"という、到底人間が思いつかないような下劣な設定に支えられた究極のインモラルムービー、それに他ならないのです。
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