きょむ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のきょむのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

邦題がダサくて見るの後回しにしてたけどめちゃめちゃ良い話。
実在の人物をテーマにした話(多少の脚色はあるだろうけど)だから、ハッピーエンドとはいかないんだよな。
チューリングの自己中ぶりに辟易する同僚たちの気持ちは分かるけど、それにちゃんと気づいて下手ながらもチューニングから歩み寄ろうとしたり、それに同僚もだんだん答えてくれてたしね。
途中までヒューのことめっちゃ嫌な奴だと思ってたよ、ごめんそりゃあんな態度取られたらイラってするよね。
でも、そのあとチューリングのこと認めて仲間として打ち解けたし飲みにまで行く関係になれたもんね。他の仲間とも打ち解けられたと思ったら、よ。
ジョーンと婚約したかと思えば本当は同性愛者ということ中々打ち明けられなかったり、仲間の一人が二重スパイだったり。
最初にエニグマ解読できたときに、民間船を助けない判断したのは悲しいけど、長い目でみれば正しい判断だったんだろうな。
でもピーター(お兄ちゃんがその民間船に乗ってた)が言うように、神でもないのに人の生き死にを決めるなんて、とも思ってしまう。
自分が、その船に乗ってたり、乗ってた人の家族だったりしたら、こんな正しい判断だなんて言えないもんね。
それと、チューリングがジョーンのことが人として好きだったのは本当なんだろうな、そんなウソつけない人だし。
でもそれはジョーンの人間性がとても聡明で素敵だということであって恋愛感情では無かったんだろうし、エニグマ解読という波乱な道を進まなくても、チューニングの中ではクリストファーが一番だったんだろうなあ。
途中挟まれる過去回想で、絶対このクリストファー君亡くなるんだろうなと思って見てたけどさ。
あと学校の校長冷徹すぎてびっくりする。生徒一人死んだのにあんなに冷たいの?そういう時代だったってことなのかな。

この話はタイトルのようにエニグマ解説メインではあるけど、敵はドイツでもなんでもなく、本来味方のはずの自国民が敵になることもあるってことが込められていたように思うし、当時のイギリスでの同性愛への差別意識の強さって側面も大きかったな。
イギリスの同性愛についての歴史とか全く知らないから、1800年代から1960年代まで同性愛は法的に禁止されていたなんて。
風当りがめちゃくちゃ強かったんだろうというのは分かってたけど。

戦時中の話ではあるけど、登場人物が殺されたり戦ったりなんてなくて、でも解読室から離れた海や町では確実に人が死んでいて、それが淡々と静かに描写されていくのが逆にリアルで、どうしようもないんだってことが突き付けられる感覚だった。
きょむ

きょむ