カイ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のカイのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます


鑑賞後真っ先に「科学者はいつも利用される」という台詞を思い出した。MGS3で、自らの考案した宇宙ロケットのブースター技術が核ミサイルに利用されたソ連の科学者ソコロフの台詞だ。どの時代に於いても科学者は自分の研究に専念したいだけでも、戦争はそれを利用する。アインシュタインも、そして本作のアラン・チューリングもそうであった。

チューリングは中でも取り分け戦争の深みにはまり過ぎた。自身の数学者としてあまりにもスバ抜けた才能は、暗号解読という機密だらけの世界に不幸にも適合してしまい、その所為で彼は一人では抱えきれない「秘密」に苦しめらることになった。彼は常に孤独を強いられ、苦難を共にした仲間をも裏切り、他人を守る嘘によって、なりたくなかった「特別」に祭り上げられてしまった。

時系列を意図的にバラし、クリストファーの秘密をラスト付近に配置することで、彼のマシーンへの偏愛の、不器用で、余りに悲しい理由が遂に明かされる構成が素晴らしかった。何よりそれを表現したカンバーバッチの熱演が最高。そして分かってたけどエピローグの最後の一文にはニヤリとさせられた。

「裏切りのサーカス」の雰囲気が好きな人も気にいるかも。
カイ

カイ