三四郎

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密の三四郎のレビュー・感想・評価

3.9
「時として、誰も予想しなかった人物が 誰も想像しなかった偉業を成し遂げることがある」
実話を基にした映画ということで、どこからどこまでが事実で、どこが脚色なのかよくわからないが、アラン・チューリングの人間離れしたところは、二つあるように思った。
ひとつは、ただ暗号解読するだけではなく、その次の段階、即ち、ドイツ軍に解読成功を悟られぬよう、どの情報を活用するか判断の一助となるシステムを自ら作るということ。ただの天才は暗号解読の成功だけで終わるような気がする。彼はそのさらに上をゆく天才なのだ。
もうひとつは、どの作戦に目を瞑り、どの作戦は阻止すべきか…敵も欺くが、味方をも欺くということ。犠牲者を敵味方関係なく共に増やす、人々を見殺しにする、助かる命も「戦争に勝つ、戦争を早く終結させる」という信念のもと、机上の上で情をなくし、取捨選択する。人間の心、「良心」が少しでもあればできない。
戦争はギャンブルやゲームと全く同じだと思えた。ギャンブルやゲームに強い人間は、優秀な軍人やスパイになるだろう。自分の手持ちを失っても相手のダメージが大きければそれで良いという大胆なことができる、無慈悲な人間でなければ闘えない。
ただ決定的に違うのは、失うものが「金」か「命」かということだけだ。

大英帝国の偉大さ、恐ろしさがよくわかる映画だった。
三四郎

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