名も無き辛口評論家

砂上の法廷の名も無き辛口評論家のネタバレレビュー・内容・結末

砂上の法廷(2015年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

「砂上の法廷」

キャッチフレーズの「94分、あなたは騙され続ける。」で副題は「正義は、こんなにも脆いのか?」という内容と正義の女神テーミスが写し出されるパッケージ。

巨額の資産家弁護士のラシータ・ブーン(演ジェームス・べルーシ)が、自宅で殺害される。犯人は弁護士志望の息子であるマイク(ガブリエル・バッソ)が未成年であるが成人として第1級殺人の罪に問われる。マイクを弁護する為に母親のロレッタ(レニーゼルヴィガー)は、ラシータを恩師とするラムゼイ(キアヌ・リーヴス)に顧問弁護を依頼する。
裁判が開廷しても、黙秘権を続けるマイク。検察側の証言により陪審員の心象が悪くなる証言が続いたことで、裁判は極めてマイクに不利な状況へと進んで行くことになる。

はっきり言って騙された

ラシータを殺した犯人は、キアヌ演じるラムゼイであった。しかも、その罪を息子のマイクに心理的に押し付けてのであった。マイクは、父ラシータの度重なる虐待行為から母ロレッタが殺害したのだと勘違いして罪を背負い警察の取り調べを受けた。しかし、本当の犯人は、ラムゼイであり、弁護士試験合格後にラシータに高級なスーツを買って貰うなど師事していたラムゼイはロレッタの不倫関係あった。そのことにラシータが気付いたことにより殺害に至ったのが動機だった。
これで最初にラムゼイがトイレで吐いていた真相が分かる。息子マイクに全ての責任を押し付けて有罪にする途方もない法廷戦術によるプレッシャーであり、視聴者は黙秘権を続けるマイクを弁護する勝ち目のない法廷に臨む敏腕弁護士像という全く本質と異なるイメージで観ていたことだろう。

黙秘権は一発逆転の最高戦術だった

第1級殺人の被疑者マイクは、ULCAにスタンフォード大学に受かる実力があるが、地元オレゴン州のリード大学を目指す法曹志望で親を弁護士に持つだけに頭がキレる。
マイクは、最後の逆転で陪審員の心象を勝ち取るために黙秘権を貫いたのだ。孤独な法廷での戦い。しかも、自身を弁護するのは、事もあろうに父親を殺害したラムゼイなのだ。裁判が進むに連れて、母親が父親を殺したのではなく、ラムゼイが殺したことがマイクには明らかになってくる。
黙秘権を続けたことで、宣誓した承認から出る証言は、殺害されたラシータの性スキャンダル、妻ロレッタへの家庭内DVなど悲惨な内容でマイクが母親を擁護して殺害することも有り得るという内容であるが、マイクは頑なに黙秘権を行使するので陪審員の心証は極めて不利になって行く。
そんな状態で、マイクが黙秘権をといて口を開く「父親から性的虐待を受けていた」、「自身が大学に進学すると関係性が終わる」という衝撃の内容で、迫る父親の急迫不正の侵害により、正当防衛で殺害したというものだ。この発言が決めてとなり、マイクは殺人罪による正当防衛と陪審員は判断して裁判長から無罪を言い渡される。

全ての真相は明らかに裁判は終わる

汚名は殺害されたラシータが被ることになった。ラムゼイは「父を殺したな!」と詰め寄るマイクに対して、ラムゼイは「もう裁判は終わり、世間は君が母親を救うために犯行に及んだとみている」と当初の法廷戦術通りであったと打ち明ける。怒ったマイクは法廷を立ち去る。