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毛皮のヴィーナスのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

毛皮のヴィーナス(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

女優と演出家によるオーディションの様子を描いた、会話劇。

劇中で演じられる『毛皮を着たヴィーナス』内での関係性と、現実の登場人物の関係性が重なって描かれるところが面白かったですね。
所謂、メタ構造な作品で、役柄の台詞なのか本人の台詞なのか曖昧だったり、役柄の力関係が現実の力関係を侵食したりと、虚実が入り乱れる不思議な世界観が本作の魅力なのでしょう。

更に言うと、主人公がポリコレ的な批判に怒るシーンは、ポランスキー監督の本音の様にも見て取れて、もしかしたら主人公は監督自身でもあるのかなと。
実際、マチュー・アマルリックは監督と似た髪形にさせられ、エマニュエル・セニエは監督の妻でもあるので、メタメタ構造な作品として見るのも面白いかもしれません。

あとは、SMを始めとした性に対する批評も、本作の見所らしいのですが、個人的にはイマイチよく分からず。
M側の人間が実は一番S(支配的)だったり…という話は分かるものの、それを男の幻想と切り捨てるのは何だかなーと。
女性側にSM的な欲望が本当にないのか分からないし、まぁジェンダー云々と言うより、自分の欲望を人に押し付けるのはよくないって事なのかもしれませんけどね。

上映時間は90分と短いものの、登場人物は2人だけで、舞台も変わらず、SMについての話を延々とするので、正直、途中で飽きてしまう部分もありました。
また、台詞が速かったり、難解な部分もあるので、ちょっと字幕を読むのに疲れてしまったり。
「登場人物が2人だけの会話劇」というのは、監督にとってはチャレンジだったと思うのですが、その分、ハードルの高い作品になってしまったかもしれません。
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