危うく私の中のお節介ジジイが「君達…いい加減見栄っ張りはやめなさい…それを人間世界では恋と呼ぶのだよ…」と顔を出しそうになったがすんでのところで抑えられから良かったと言うものの、5年前程度であれば山田杏奈でバリバリリメイクすら出来たであろうに、12年も前の作品が、しかもあの名匠ロブ・ライナーだと言うのに上映はおろか配信すらされていないと言うのはなぜだ…と首を傾げざるを得ない。表面上は顔面が端正に整った未来に希望しかなさそうなうら若き2人の甘酸っぱどころでなく目と鼻の奥にツーンとくる様な逆転恋愛劇であるが、そこに有毒な男性性の権化たる「父親」を一枚噛ませる事により、それが如何に人と人との関係性を破壊し近しい者ですら傷付け、尚且つそれが如何にしてまっさらな少年の中で脈々と培われていくかと言うのも浮かび上がってくる（ちなみにこの父親は最終的に見るも無惨に敗北する）。男の子同士の絆を維持する為にけちょんけちょんに言われる女の子、なんてのもやってる事ほぼ香川照之だし、彼は運良くそこから脱出出来たから良かったものの、あのままホモソの沼に浸かり続けかつ非モテ人生を送ってしまえば最後、絵に描いた様なインセルクソ野郎が誕生する事だろう、俺か？にしたって本当に賢い女の子で、彼女が学び取った「全体を見る事」は切り抜きクソリプ社会への有効なカウンターになるし、私たちは言葉が足りなかったとの着地…あんたきっとノーベル賞取れるわよ…。そうした多くの学びすらある良質恋愛映画だと言うのに本当に何故…そしてこんな良作をクソゲラ野郎共に妨害されながら観てしまった事が何よりも悔しい。チャリティーの為にランダムで選出された男子がランチ一緒に食べる権を女子に入札されるバスケットボーイシステムは地獄でしかなかったが、あんな文化本当にあったんですか…。
