キャストとあらすじを見て「また土屋嘉男が女房を寝取られるのだな」と直感した。
実際その通りになるのだが、いつものような悲壮感はそこにはなく、むしろピカレスクを夢見る主人公の前に立ちはだかる“権力の象徴”としての扱いが新鮮だった。
いつも日活ロマンポルノを観る時、濡れ場はどうでもよくて物語を重視してしまうのだが、本作は逆だった。
高田美和の濡れ場は思ったよりも激しくて、大映時代の清純路線に慣れてると観てはいけないものを観ている気になってしまう。
今の基準なら40代中盤の落ち着きと色気。
ボカシがかえっていやらしい。
その分、五代高之演じる主人公のピカレスクに特に興味が持てない。
本当にどうでもいいし退屈だ。
当時の五代高之のビジュアルだと、全然ピカレスクをやるような器に見えない。
その割にしっかりとセックスはするのでイライラする。
最期の瞬間「だけ」いきなりニューシネマ化して中々ショッキングだが、妙なカタルシスを感じた。
「ざまあみろ」と言い換えても良し。