軽井沢夫人の作品情報・感想・評価

「軽井沢夫人」に投稿された感想・評価

キャストとあらすじを見て「また土屋嘉男が女房を寝取られるのだな」と直感した。
実際その通りになるのだが、いつものような悲壮感はそこにはなく、むしろピカレスクを夢見る主人公の前に立ちはだかる“権力の象徴”としての扱いが新鮮だった。

いつも日活ロマンポルノを観る時、濡れ場はどうでもよくて物語を重視してしまうのだが、本作は逆だった。
高田美和の濡れ場は思ったよりも激しくて、大映時代の清純路線に慣れてると観てはいけないものを観ている気になってしまう。
今の基準なら40代中盤の落ち着きと色気。
ボカシがかえっていやらしい。

その分、五代高之演じる主人公のピカレスクに特に興味が持てない。
本当にどうでもいいし退屈だ。
当時の五代高之のビジュアルだと、全然ピカレスクをやるような器に見えない。
その割にしっかりとセックスはするのでイライラする。
最期の瞬間「だけ」いきなりニューシネマ化して中々ショッキングだが、妙なカタルシスを感じた。
「ざまあみろ」と言い換えても良し。
耽美的に過ぎるために、映画から運動性や性的開放感が失われている。終盤、唐突に挿入される『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』のようなシーンはよかった。
東京から軽井沢へとやって来た青年(五代高之)が、権力者の夫(土屋嘉男)により別荘に幽閉されている夫人(高田美和)に心惹かれていくのだが、夫人の姪(吉川由美)とその恋人(北見敏之)が、犯罪者であることを知ってしまう。財閥の有象無象に取り込まれた青年の、悲劇を追っているロマンポルノ。原作者の嵯峨島昭は、宇能鴻一郎の変名。

ごく普通の学生だった青年が、上流階級の生活に足を突っ込んだばかりに急転直下してしまう。所謂「異世界もの」の観点から楽しむことができる作品。ヒロインの夫人を演じているのは、昭和のアイドル女優・高田美和。公開当時で35歳だが、見た目はもうちょっと上に見える。熟れた裸体は美しい。

青年の夫人に対する求愛行動がいちいち面白く、部屋にてパンイチで待機しているのが最高に笑える。若いエネルギーに溺れていく夫人の、大仰な演技も素晴らしい。殺人事件のシークエンスが動き出すと、お笑い要素が鳴りを潜めるが、ラストにはロマンポルノならではのビックリ系の展開が待っている。

一般人が上流階級の中に入り込んだ感覚を、鑑賞者にじんわりと伝わるようにして欲しかったところだが、豪邸での生活風景と暴走族の若者たちを対比させていく手法がポジティブに働いているため、厭わしくはならない。ロマンポルノの長編作品は平凡な印象が強いのだが、本作はそれなりの満足感を得ることができる。
tjr

tjrの感想・評価

4.1
夏の軽井沢、青年と夫人の禁断の恋。
高田美和の高貴な佇まいと背徳に近寄る面持ちだけで映画の気品を増している上、前田米造の撮影が前半の視線劇と別荘の内部空間を豊かなものにしている。
そしてベッドでコーヒーを・ソファでワインを零す、草原での情事後発見するセミの脱け殻、凍って割れる壺、そんな小沼演出の数々がどうしようもなく好きである。
濡れ場シーンでの高田美和の色気が半端なくて困った(素晴らしい演技!)。日活の周年記念として通常の3倍予算をかけたロマンポルノとしては、終盤のある処理へのモヤモヤは否めないが、評価の大勢に影響はない。
他の方が指摘してるようにロージー「恋」が参照点として挙がりそう。
自分の好きな映画監督は、絶望的な夏の終わりを見据えた映画を撮ることができる。小沼もそう。でもこの映画はそれとはちょっと違うんだよなぁ、好きな映画ではあるのですが。
『NAGISA』とまではいかないけど、とても美しいのにざわざわしてしまうショットが見られる。青年(大谷翔平君に似てる気がする可愛い……)の元に高田美和が堕ちていくときの心の揺らめき=緩やかな風はあまりにも素晴らしかった。
ただの大学生であった青年が夫人に惹き付けられたことを示すショットは脚から。青年が別の金持ち娘に蔑まれるショットも脚から。身分の違いは脚から始まる。それは高低差に結び付く。夫人と二度目の別れを告げなければならないとき、夫人は階段を上り、青年は下に居続ける。極めて正統派の演出。でも子供が不意に池に落ちる、なんていう物語上必要ないシーンもしっかり用意しているから流石だ。あれがあるのとないのとでは大きく違う筈。
ジョセフ・ロージーが緑に囲まれた屋敷描いた傑作『恋』の中で語ったことを考えるならば、この映画の二人も未熟だったかもしれない。夫人は高貴なお方だけど、レストランにいけばオレンジジュースを飲んじゃうしね……ってそれはあまり関係ないか。
拝啓 16歳の君へ…

中学生の頃からバイクで駆け回り、喧嘩に明け暮れていた君。
いつも周りは騒々しかったよね…

一人になりたくて、よく海で魚釣りをしていましたよね…

こんな田舎のちっぽけなデンジャラスな街が嫌だと都会に憧れ、学校も行かず無銭で入った映画館で現実逃避していましたね…

そんな君が何故か何度も観ていた作品を見つけました。

今は便利な時代。
TSUTAYA何てものが存在しています。

若い君が何を思って、何を願ってこの作品を何度も観ていたのか…
高田美和さんのファンという訳でもなかったはず。
おばさんに感じていたと思います。

私には君が解らない。
そんな君を理解する為にTSUTAYAに行って借りてみよう、なんて思っています…
夏だ!避暑地だ、軽井沢だ!
この雰囲気いいですね~軽井沢には行った事ないんですが…内容は火曜サスペンス劇場を少しエロチックにした感じになってます。面白かったです。
ベッドシ-ンでの高田美和さんのパンツの食い込みが今も脳裡に焼き付いて離れません。 この映画を見ながら思ったのは 僕もいつか、軽井沢に行って こんな夫人とお知り合いになりたい! でも、僕はこの映画の相手役、五代くんみたいにイケメンじゃないからなぁ~