TaiRa

砂漠の流れ者のTaiRaのレビュー・感想・評価

砂漠の流れ者(1970年製作の映画)
5.0
フィルム上映で再見。ペキンパーのベスト決めるの中々に難しいけど一番巧いのはこれでしょ。

前作『ワイルドバンチ』が暴力的過ぎるとか、女子供への仕打ちが酷いとか、汚いとか、散々文句言われた事へのアンサーみたいな作品。冒頭からして主人公が臆病者呼ばわりされて裏切り者を撃てない場面。主人公が惚れる女は娼婦だが、彼女への扱いも敬意を忘れないし描き方も魅力的。最初に砂漠を彷徨ってボロボロの野良犬みたいになった主人公がラスト付近では身綺麗な紳士になる。ペキンパーの代名詞であるスローモーションも使わず逆に早回しを使う。ラストでは時代の終わりや死を悲壮なものとしてでなく「楽しむもの」として描く。徹底した自作へのアンチテーゼ。ペキンパーは演出家としても非常に素晴らしい。ジェイソン・ロバーズはどんどんカッコよく見えて来るし、ステラ・スティーヴンスは本当に美しい。あの一目惚れオッパイの編集最高。スケベ牧師デヴィッド・ワーナーのコメディリリーフっぷりも良い。あの人妻の場面ね。あとこれミュージカル映画でもある。ペキンパーってやっぱ凄い。
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