OASIS

サンシャイン 歌声が響く街のOASISのレビュー・感想・評価

3.0
結婚25年目を迎える夫婦の元へ息子と友人が兵役からもどってくるが、父に隠し子が発覚し、恋人同士の関係も危うくなっていくという話。

最初から最後まで「フラッシュ・モブ」を眺めている様な感覚。
苦手だったミュージカル映画にもだいぶ免疫がついたと思っていたが、もろにアフレコされると歌声から感じられる力も半減してしまう様な気も。
歌にも踊りにも強く惹きつけられる魅力は感じられなかったが、ラストのもろフラッシュモブなシーンは良かった。

夢を追う恋人の気持ちに気付けず、人前で開けっぴろげにプロポーズしてしまう彼もタイミングが悪い事に間違いないのだが、それをバッサリと断ってしまう彼女もどうなんだろうと。
少なくとも「私には夢がある」という事を少しでも仄めかしていないと、彼にとっては何の事か意味が不明なので、女心を読むとか読まないとかそれ以前の問題に思えた。

兄に対して選択を迫る恋人の態度の変化もいきなり過ぎるし、基本的にこの映画の中では男性への目線が厳しくて同じ男としては気分が良いものでは無かった。
弟が不憫過ぎて「あんな事があったのに戦地で唄ってる場合じゃないよ!」と哀しさしか残らなかった。

父親の身に起こる事も何の伏線も無かったように思うし、兄の恋人が心変わりする様子も歌だけ聞いているとほんの一瞬に思えた。
ミュージカルは決して嫌いでは無いのだけど、歌の中に心情を表す台詞が多過ぎるとやっぱり萎える。
そして、分かっていたとしても病室でいきなり歌い出すのは違和感が有りまくりで。
しかもかなりシリアスな場面なので余計に際立っていた。

逆に言うと、暗くなりがちな場面でも明るい歌でその空気をなんとか消そうと奮闘しているし、楽曲はどれも楽し気なものばかりなので、ミュージカル映画が好きな人は存分に幸福感が得られるとは思います。

@シネ・リーブル梅田
OASIS

OASIS