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誰よりも狙われた男のILDZのネタバレレビュー・内容・結末

誰よりも狙われた男(2014年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

いかにして自分の味方を増やすか。劇中で主人公バッハマンの行う諜報活動の大部分はこれに費やされていると言っても過言ではなくて、時には脅し時には正義感や情に訴え時には父親のように振る舞い手練手管を駆使しまくる。
とりわけ素晴らしいのがレイチェルマクアダムス(美人!)演じる人権派弁護士リヒターを籠絡するくだり。拉致監禁→国家権力をチラつかせて脅す→同性の諜報員が優しく語りかける→正義感に訴えかけるという一連のシーンが無駄を省いた手際の良さで描写される。他にもターゲットであるアブドゥラの息子(!)や資金洗浄の片棒を担ぐ銀行頭取などを味方に引き込んでいき、さらには他国との政治的な駆け引きでも味方を増やして優位に立つバッハマンだったが、この手のスパイ物ではお決まりの「自らの手の内を晒したり他者に情けをかけた者は必ずしっぺ返しを食らう」という展開に。自らも「使える駒」として利用されていたにすぎなかったこと、とうの昔に捨て去ったはずの甘さがまたも自らの足を引っ張ったことを悟った瞬間にバッハマンが初めて感情を露わに怒号を発するのだけど、異様な緊張感がずーっと漂っていた今作で唯一「エモい」のがこのシーン。むしろこのシーンのために120分超を積み重ねてきたといっても過言ではないかもしれない。
余談だけどウィレムデフォー演じる銀行頭取の劇中での扱いがかなり雑でいいように使われてて笑えました。
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