このレビューはネタバレを含みます
子供時代のトラウマは案外いつまでも
心に残りそれが全てであった様に感じるのかも知れない。
人間は嬉しかったり、楽しかったりする事より、満ち足りなかったり、悔しかったりする事が、より深く心に残っているものなのかも知れない。
私自身母親とあまり気の合う子ではなかったので、反抗したり、母の言う通りにしない事が沢山あった気がする。
母が生きていた頃は。
でも今なら色々な事が分かる。全部母なりの愛であったと。それが私の中の"理想の親"と少し違っていたのだと。
マイケルの父は支配的で完璧主義者。
母リサは愛情深いチャーミングな
女性だった。
作家になったマイケルは17年ぶりに帰郷して久々に家族達と会う事になっていた。
両親、妹、そして叔母家族と。
その日事故は起こる。父チャールズの運転していた車が事故を起こし、助手席に乗っていたリサが亡くなってしまう。
その事から物語は動き出す。急に飛び出して事故の原因を作った甥のクリストファー
は自分を責めて、殻に閉じこもってしまう。
マイケルはそんな彼を見ていると、幼い頃
抑圧されて苦しんでいた様な自分と重なったのだろう。
広い草原をやりきれない想いを抱いて走る
クリストファーは正しく小さい頃のマイケルであったと思う。
ある日マイケルは母の遺品を整理していて
驚く程高額の電話の通話記録を見つける。
誰であるのか確認すると、それはお葬式にも来ていた大学時代の両親の友人であった。
マイケルは彼に会いに行き、その頃の母の幸せを思い、感謝の言葉を述べる。
母は決して父親に束縛されついていくだけの人ではなかったのだ。
マイケルの中で色々な事が府に落ちてくる。
最後父が出して来た8ミリの映像はマイケルの誕生日を皆で祝うものであった。
あぁ、幸せな日もあったのだ。こんな風に。
この映画は確執をずっと解消されなかった
父と息子が母の死を通して再生する予感を感じさせてくれる作品であった。
2020.3.28 自宅にて