やっと映画館に行って"オッペンハイマー"を観ることができた!3時間はアッという間に感じた。
問題提議の多い、深く考えさせられる映画だった。
又私達は「核」と言う魔物と共存している事も改めて思い知らされた。
ピューリッツァー賞を受賞した"オッペンハイマー"を原作として、クリストファー・ノーラン監督がオッペンハイマーの栄光と没落の生涯を実話ベースで描いた作品だった。
まるでドキュメントの様で、カラーと白黒を織り混ぜながら、時代を切り替え、1つの事を成し遂げた人への見る角度の違いで、扱いが変わる様も怖しいと思った。
紛れもなくオッペンハイマーは天才であったと思う。キリアン・マーフィーがよく演じていた。
1人の天才科学者の創造物は間違いなく世界の在り方を変えたと思う。
そして「核」のある世界で私達は今も生きている。
アメリカが核開発に成功したすぐ後に、ソビエトが核開発に成功しており、核のもたらす脅威で他国を牽制しあう流れになり、ソビエトとアメリカの冷戦が始まる事になる。
オッペンハイマーは、とても複雑で、大きな変革の時に生きたんだなぁと思う。たらればの話しは仕方ないけれど、彼の才能を持ってすれば、又違う未来も待っていたと思うけれど…。
おびただしい登場人物で、エッ?これは誰?みたいになりながら集中💦
又オッペンハイマーは崇高な生き方ではなく、俗物的でもあった。
人妻に恋し、不倫し、又不倫を繰り返す。
でも、やはり私の心に強く残ったのは、原爆の恐ろしさ。広島、長崎の悲惨な状況をふんわりとしか描いていなかったのは残念だった。
"黒い雨"が降ったのだから。
特攻隊で亡くなった若者達、何の罪もないのに散っていった広島、長崎の人を思う時
散らなくても良い生命がどれ程沢山あったのか、と悔しくてならない。
「我は死なり、世界の破壊者なり」
オッペンハイマーがヒンズー教の聖典から引用した言葉は重い。
ラストの音楽の不穏な旋律は、この映画の内包する問題を象徴するかのようで、余韻を一層深く、重いものにしたと感じた。