TaiRa

明治侠客伝 三代目襲名のTaiRaのレビュー・感想・評価

明治侠客伝 三代目襲名(1965年製作の映画)
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任侠映画の完璧な形やってる。鶴田浩二を初めてカッコイイと思った。

にしても加藤泰のシネスコ使い凄いなぁ。画面右の3分の1だけで芝居やって残りは敢えて余白にしたり、画面半分を奥と手前で二層に分けて別の芝居させたり。画面の左/右と奥/手前に振り分ける情報量が面白い。シンメトリックな構図で画面中央に役者の顔のみってのも多々あってどれもキマってる。よく考えたらウェス・アンダーソンと近いのかもな。画面の作り方。オープニングから真俯瞰だし。キメキメの画の中に映る鶴田浩二がまた最高にカッコイイ。仁義大切にする真面目なヤクザ。組長の息子で跳ねっ返りヤクザの津川雅彦を諭す優男感好き。こんなに目が優しかったのね。いつも眠そうな目。娼婦の藤純子と川辺で話す場面も画面が驚異的に美しい。女が男に桃をふたつ渡す行為を非常にエロティックなものとして撮っていて最高。なんて品がいいんでしょうか。渡世人の藤山寛美も良い。三枚目だけど拳銃の出し方とか怖い。クライマックスの殴り込みに向けてのドラマとか一々泣けるし、ラストのラストでほぼ台詞なしの鶴田浩二と藤純子の芝居が素晴らし過ぎる。藤純子の咄嗟の行動に物言わず全てを理解してしまう鶴田浩二の表情、弁明する様に鶴田を追い掛け抱き締める藤純子!もう完璧でしょう。
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