最も好きな回。
ロニ・ガーヴェイという、ネオ・ジオン戦争で連邦に蹂躙された街出身の子の話。
最初から怒りまくっているが、原作ではもう少し人の気持ちがわかる優しい女の子でバナージと心を通い合わすシーンもある。
そしてここでジンネマンがなぜネオ・ジオンに加担しているか、そして加担しながらもネオ・ジオンを良 しと思っていないのかが、より原作には描かれている。
その葛藤の中で、ジオン残党兵の祈願である復讐という名の事実上の虐殺作戦を行う彼の表情は非常に多くのことを物語っていた。
よく考えて辿れば仕方のないことでも、バナージの実直な姿勢に心を打たれるロニと、そのように振る舞えず嫉妬するリディ。
抗えない血の呪縛として、既得権益に溺れるマーセナス家と復讐心を子に受け継がせようとするガーヴェイ家の対比構図は素晴らしい。
だが、ロニもまた血の呪縛には抗えないことを悟り、両親の呪縛(サイコミュ)の暴走による負の連鎖を断ち切る為、自ら命を断つことを選ぶ。
(実は最後の砲撃は両親のサイコミュの暴走によるもので、ロニは反射板のようなもので止めている。)
バナージが色んな人の想いを変えた回でした。
そして悟ったからこそ、初めて自分の意思でユニコーンを本当の意味で制御しているし、操縦なしでユニコーンが動いているシーンがある。
彼にその心を教えてくれたのはマリーダであり、ダグザであり、ギルボアであり、父カーディアス。
たまんない。
ミネバとバーのマスターの会話劇はとにかくクオリティも高く、会話をしながらパイプを吸っていいか許可を撮るジェスチャーや、スペースノイドのミネバが「重力が嬉しい」と足をつける描写など非常に細かい。
一年戦争のきっかけとなったのは連邦による棄民政策だと非難されてきたが、実は地球の自然を元に戻したいからと望んで出て行った人もいた。
この泥沼の戦争も元々は人々の善意から始まったものだ、と。
そうして、"ただ善意で珈琲を入れることしか出来ない老人"と"お金を多く払うことしか出来ない若者"の対比で締め括られる。なんと美しいことか。
そしてマスターの声優がかつてのガルマ・ザビ。完璧です。