人生ベストで好きな映画は「プルートで朝食を」なんですが、何だかそれに似た匂いのする素敵な映画だった。映画館で観てたらプルートくらい通ったろうな。公開時にはスルーしてたのが悔やまれる。全然目に留めてなかった。
母に憧れて自分は女の子だと信じていた男の子の物語。心は女なのだから男の子を好きになる自分はストレートだ、いやゲイなのか？男として生きるのか？と揺れる姿と、ギヨーム自身が二役で演じている母親の実体と幻覚、この映画自体がギヨームのひとり芝居というテイなので映画なのか舞台なのか、虚実がシームレスに行き来する。
所々フランスのジョークなのかシリアスなのか私には分からない描写もあって、いい意味で煙にまかれてる気もする。ギヨームの精神分析の結果はどうだったのか、ラストに出て来る女性とはギヨームの言うとおりのことになっているのか。どうやらギヨームさんご本人の人生と照らし合わせるとその通りになっているのかも知れないけれど、映画だけ観てると分からない。なにせギヨームの精神状態はとても不安定だから。
一見弱々しく見えても、ウイットを忘れず己の道を突き進む、パトリックとギヨームはやっぱりどこか似てると思う。すごく好き。
