このレビューはネタバレを含みます
幸福って何だろう
園子温監督なのに血塗れスプラッタではない変化球。
一人のスカウトマンを中心に、歌舞伎町の裏も表も色濃く描いた裏社会の物語。
主演の綾野剛演じる、無鉄砲だが情に厚く真っ直ぐな男・白鳥龍彦の生き方がとにかくカッコいい。
新宿歌舞伎町を舞台にした物語な為、当然治安はとてつもなく悪い。
本作は、そんな場所でも〝幸福〟になろうと足掻く人々を描く。
個人的に作中で好きな部分は、自らスカウトした女性が自殺し、自らの生き方に迷う龍彦に対し、これまでスカウトした女性たちの見せた屈託のない笑顔と、「ありがとう、私いま幸せだよ」というセリフが忘れられない。
風俗やキャバクラで働いていることなんか何も関係ない。人には人の生き方で、幸福になる方法があるんだと改めて感じた。
もちろん歌舞伎町は治安も悪いし、そこで生きることは本当の幸福なのかと客観的に見たら思うかもしれない。
けれど、あの場所で生きている人々はみな幸福なんだと心から思えた。
秀吉(演・山田孝之)と龍彦の関係性の描き方もとても良かった為、IIも鑑賞する予定。
白鳥龍彦の居る新宿歌舞伎町は間違いなく幸せになれる場所だ。
