OASIS

Mr.タスクのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

Mr.タスク(2014年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

Podcastの取材の為、航海の冒険記を語りたいという老人の元を訪れた男が、老人の企みにより実験体にされてしまうという話。
監督は「チェイシング・エイミー」等のケヴィン・スミス。

海への憧れを捨てきれないキ印爺さんと大人になりきれないろくでなし男が織りなす心温まる不思議な友情物語(大嘘)。
実際は「ムカデ人間」ならぬ「セイウチ人間」を作り出そうとする狂気溢れる変人の実験模様と、人間からセイウチへと華麗なる変身を遂げた男のシュールさ漂うホラーである。

ユーチューバーならぬポッドキャスターのウォレスは、ネタ探しの為訪れたカナダでチラシに書かれていた「私の航海の話を聞いてくれる人を募集したい」という文に惹かれ彼の元へとやって来る。
話を聞く内に意識が遠のいてしまったウォレスは、目を覚ました瞬間に自分の両足が切断されている事に驚愕する。
開始当初はウォレスと相方テディのPodcast収録風景が続き、下衆な会話と軽いノリが繰り広げられる。

ここら辺はいかにも「チェイシング・エイミー」や「クラークス」等のケヴィン・スミス監督っぽさを感じる所で、そこからどういう風に展開するのかと思うと急に「レッド・ステイト」のような田舎風ホラーへと変貌して行くので舵の取り方が良く分からない感じだった。
その後も、ホラーともコメディとも言えない空気が漂う中老人とウォレスの会話が長々と続くので中々の退屈さであった。

肝心のセイウチ人間に変えられて行く様子も割とあっさりしていて、直ぐに手術が完了してしまうので徐々に人間が人間ならざるものに変化していく残酷さが薄くて残念だった。
そして、最も重要なその見た目が何だか愛らしささえ感じる造形でシュールさが極まっていた。
老人とセイウチがプールの中で共に手と前足を取り合って泳ぐシーンのムツゴロウ王国感は半端なく、その場面だけ切り取って見るとどう見ても飼育員と生まれたばかりのセイウチだった。

中盤から登場する、老人を追う刑事のふざけたノリがそれまでのホラー的雰囲気をぶち壊してしまうほどの軽さで、映画自体の方向性がまたガラリと変わってしまう。
ジョニデ史上最高の演技と称される「ブラック・スキャンダル」よりももしかしたらこっちの方が良い演技をしているのではないかという予想だがどうだろうか。
テディ役を演じたハーレイ・ジョエル・オスメントが良い感じに憎たらしい具合に成長していて、その役柄同様にこれからまた違った方向での活躍が期待出来そうだ。
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