イチロヲ

アナーキー・インじゃぱんすけ 見られてイク女のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
他人の赤子を連れ去った不妊体質の女性(佐々木ユメカ)が、コンビニ店員の中年男(佐野和宏)を父親代わりに引き入れてしまう。負の連鎖をスラップスティック調に描いている、新東宝配給のピンク映画。国映製作。

社会の底辺部に位置している訳ありの人間たちにスポットライトを当てつつ、下半身主導のカオス状態を展開させていく、まごうことなき瀬々ワールド。一癖も二癖もある登場人物が、様々なアクションを取るため、独特の世界観に引き込まれる。

コンビニ店員の中年男が、赤ちゃんプレイを嗜好するドラッグ中毒者(下元史朗)、セックス中にも飲みまくる酒好きのハゲ(諏訪太朗)と一緒に、ボンクラ中年グループを結成しているところが醍醐味。とりわけ、史朗アニキの「オムツ替えてぇ~」が衝撃的。

惜しむらくは、赤子が成長した後のパンク精神の昂りに飛躍が感じられ、物語に都合よく振り回されてしまうところ。全体的にピンク映画としての扱いが難しく、細山智明監督「お天気お姉さん」のコースを辿るべき作品という印象。
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