キッチー

ラブ&マーシー 終わらないメロディーのキッチーのレビュー・感想・評価

3.6
ちょっと変わった役が多い印象のポール・ダノを見たくて鑑賞。

私が洋楽をよく聴いていた70年代は、ちょうどビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンが20年ちかく引きこもっていた時期だったようですね。
今作はそんな彼の伝記的映画。ビーチ・ボーイズは名前しか知らなかったので、あまり入り込めなかったかな. . .
洋楽にはまっていたのは中学時代でビートルズやクィーンの思い出しかなく、ビーチボーイズはもう少し上の世代なのかもしれません。

今作では60年代のブライアンをポール・ダノ、80年代をジョン・キューザックが演じています。でも二人はあまり似てないので、なんでこのキャスティング?って思ってしまいました。
ブライアンは後で写真で確認しましたが、ポールの方が本人に似ていたように思います。
精神を病んでいるような役でポールが個性的な芝居を見せてくれたのは期待どおりでした。彼のうつろな表情、息苦しさが伝わってくる演技、良かった。歌も上手かったです。

映画は、
ライブ中心で人気絶頂中のビーチ・ボーイズ。しかし、ブライアンは突如、スタジオ中心のミュージシャンに変質してしまいます。曲作りに専念する彼はプレッシャーに負けて病んで引きこもりに。後見人で精神科医のユージン・ランディ(ポール・ジアマッティ)の指導を受けて生活するも、薬漬けで廃人の一歩手前でユージンの操り人形の状態に. . .
そんな彼がメリンダ・レッドベター(エリザベス・バンクス)との出会いにより、救われ、現実の世界に戻ってくる. . .
といった内容。

波乱に富んだ半生ですが、95年に彼はメリンダと結婚し5人の父親となるし、66年に完成したアルバム「ペット・サウンズ」は98年にグラミー賞を受賞しています。

ポール・ダノとジョン・キューザックの絡みは無いので、同一人物でありながらそれぞれのパートは別の話のようでした。でも、前半は天才的なミュージシャンの彼が父親との確執や曲作りのプレッシャーを抱え、明るい言動の裏で悩み、堕ちていく話。後半はメリンダ目線で描かれる堕ちていた彼の再生の物語なので、二人一役はそういった物語の性格の違いを出したかったのかもしれませんね。

フアンだったらもっと感慨深く観られる作品だと思います。

「ペット・サウンズ」聴いてみましたが、ビートルズにも影響を与えたアルバムらしく、確かに1967年の「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド 」には似たような手法があるような気がしました。前衛的な作品だったので、少し時代が早かったのかも。じっくり聴いていこうと思いました。
キッチー

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