柊渚

ユー・ウォント・ミー・トゥ・キル・ヒムの柊渚のレビュー・感想・評価

3.8
少年は「親友」を殺した。

イギリスで実際に起きたインターネット犯罪を基にした作品。
高校生の少年マークが親友のジョンを刺して殺そうとした。過去と現在を行き来することで、主人公マークがこの事件を引き起こすに至った経緯と背景を描いた青春サスペンス。


自己の存在に対して漠然とした空虚感を抱えながら、「自分は他の人間とは違うはずだ」「もっと大きな存在のはずだ」ともがく日々。その行為こそが空虚感を一層広げていくものだと気付かずに。
思春期特有の脆さとその危うさ…。

そして主人公がネットで知り合った女性に恋をして身を滅ぼしていく様がリアルでほんと痛ましい。しかし、こんなにも簡単に信じ込めるものなのかと疑問に思いました。それだけ巧妙だったということなのかなぁ…(´・_・`)

ちょっと『ユージュアル・サスペクツ』っぽいかもと思っていたら監督のブライアン・シンガーが制作に関わっているみたいで色々と納得。でもこれは実話。
ラストに向けてじわじわと事件の真相が紐解かれていく構成になっているのですが、察しの良い方は最初の方でわかってしまうかもしれません。あと石田彰が吹き替えをしている時点でわかる人にはわかる…。


人気者の主人公といじめられっ子の少年。
この主演二人の英国男子高校生の妖しげな雰囲気と繊細な表情にたまらなく魅了される。あと制服ブレザーずるい。
とにかくこの二人がイケメンだったので飽きずに観ることができました(〃ノωノ)←
真実はどうであっても、自転車で仲良く二人乗りをして笑い合ったあの瞬間は偽りなく「親友」だったと思う。

ネットにおける社会問題の他にディスコミュニケーションといった様々な現代社会の闇がこの作品に詰めこまれていますが、すべては報われることのない一途な「恋」が原因で起こったことでした。
ラストはちょっぴりほろ苦くて切ない。
柊渚

柊渚