柊渚

シタデルの柊渚のレビュー・感想・評価

シタデル(2012年製作の映画)
4.0
監督の実体験に基づく「広場恐怖症」がテーマのアイルランド産サイコホラー。

「広場恐怖症」とはパニック障害の症状の一つで、主人公トミーは謎の集団に妊娠中の妻が殺されるのを目の当たりにしたことによって広場恐怖症を発症します。
幸いお腹の子どもは助かったけれど、その事件以来トミーは外出すると凄まじい恐怖感を覚えるようになってしまう。しかし今度は娘が謎の集団に狙われ始めて…といったお話。


ホラー映画ですが、怖くは…ない。
そもそも何もホラーな展開は起こっていないはずなのに、主人公が最初から既に生まれたての小鹿並にガクブル状態なので見ていてとても可哀想。

だけど同時に主人公が感じる恐怖や不安が見ているこちらにも伝染してくるような…そんな感じでハラハラしてました(;´∀`)

常に怯えた声を出したりびくびくして、まだ若いながらもシングルファザーとして必死に子育てする様子は気の毒でたまらなくなる…。


中盤からはオカルト色が色濃くなっていき、正直ストーリーはわかったようなわからなかったような…←

でも雰囲気はかなり好みでした!
パニック障害の主人公を見事に演じた俳優さんはちょっとやつれたイライジャ・ウッドみたいなイケメン。
さらに訳あり盲目美少年のダニーくんがめちゃくちゃ可愛いという事案(*ノ∀ノ)


ちょっと差し障りのないネタバレをしますと、謎の集団は人間が感じる「恐怖」の匂いに寄せ付けられて襲いかかってくるようで、裏を返すと怖がっていない人間は視覚のない彼らから認知されることはないんです。

そしてこの訳あり盲目美少年ダニーくんが傍にいれば主人公が「恐怖」を感じていてもそれが敵に認知されることはなくなる。どういうわけかダニーくんが主人公の「恐怖」オーラを隠してくれるんです。

ダニーくんは主人公に「僕の傍にいればあなたは(相手に)見えないよ」「大丈夫だよ、自分を信じて」と言いながら、主人公の手をぎゅっと握り行動をともにするんですよ…(*´Д`*)

その道中で衝撃のカミングアウトがあったりするんですけどね…!


終始陰鬱感が漂う地味なホラー映画にもかかわらず意外な結末で、私的には好きでした。
パパは娘のためなら強くなれるんだよ!
柊渚

柊渚