作者も結末を知らず筆を進めていたら、書き出しと結びでまるで別物になっていたが、まあそれはそれで、みたいな開き直りを感じる作品。正直に言おう、197分は長い。エディターの怠慢である。途中で飽きてきて、観るのやめようかな…という瞬間を見計らったように出てくる艶やかないすゞ117クーペ。その後は吸い寄せられるように。
鬱になる程度には濃い映画だが、とっちらかっててなんだかようわからん、で軽く片付けても許されそうな懐の深さを感じる。安藤サクラの見ているだけで副交感神経を刺激されるような表情をただ見るためだけでも観る価値がある。