いぬちゃん

0.5ミリのいぬちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

0.5ミリ(2014年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

安藤サクラさん、他のキャストの方々もさすがの好演で、日常の一部を切り取ったかのような自然な演技に痺れます。

どうしても話の内容をわかりやすくしようとすれば、セリフが説明口調になってしまいますが、これは本当に日常を切り取ったかの映画でした。

そう思ったのは、先生が認知症を患っていると分かったシーン。孫娘から、おじいちゃんも病気してるしねみたいなことを言われて、さわが先生のノートをたまたま見て、認知症だと分かりました。話の内容を分かりやすくするならば、認知症とセリフになるかもしれません。ですが、孫娘とさわは、その時初対面でした。日常では人に簡単にプライベートな話はしないし、みんな感情や何か隠して生きてる、そこが反映されたシーンかと思います。

まことが女の子というのも最後までセリフが無かったしね→特に言えなかった闇の部分です。

まことはさわがヘルパーとしてお世話になっていた家に同居していた子です。
見た目は男の子に見えますが、最後まで見ると女の子なのが分かります。また、最後の方まで言葉を口にしません。
何故、男のような格好なのか、なぜ話せないのか、最後まで説明はありませんでしたが、家庭の事情でしょう。

以下は考察です。
男の子を待ち望んで産んだ子供は女の子だった。
父は自己中な性格、自分の考えを他人に押し付ける。言葉を発しようものなら、女の子の甲高い声にイラついて、暴力を振るう。虐待のシーンは実際ありました。それでまことは言葉を発しなくなった。みたいな感じでしょうか。もしかしたら、母親も男の子を望んでいたのかもしれません。実際、男の子のように髪を切っていたのは母親でしたし、父が出ていった後もまことは言葉を発しない様子でした。

どんな事情があったのかは分かりませんが、家庭の事情なんて、とても個人情報。ましてや自分の嫌な思い出は、人に容易く話すような内容ではありません。最後まで、セリフとして説明がなかったのは、この映画が、日常を描いている証拠だと思います。

また、印象的だったシーンは先生の戦争の話。
顔ドアップが数分続きます。
はじめて映画で顔のゲシュタルト崩壊しました。
認知症を患っていたことも相まって、同じ言葉を繰り返し発する光景は奇妙ですが、シーンに重みが出て、素晴らしい演出だと思いました。

序盤でカラオケでさわと一緒に歌ったおじいさんは可愛かったですね。最後の別れのシーン、一人帰っていく背中を見せるおじいさんが寂しそうで、少しうるっときてしまいました笑

アホの坂田さん、個人的に好きです笑
ああいうおっさんいるなぁと思って、見てました。チャリをパクったり、人のチャリに穴あけたり、上半身裸になってみたり。若者からは老害なんて言われるんですが、本人はみんなから冷たくあしらわれることを気にしてて、誰も自分の相手をしてくれないと寂しがってる。(寂しいから、わざと迷惑をかけたり、目立つことをするんでしょうか? 子供返りですね笑)

そんな中、いきなり来たさわには戸惑いながらも嬉しかったと思います。寂しいからこそ、相手をしてくれる詐欺師の人とは仲良くなっちゃうし笑 ボケてきてるから、難しい話は分からないけど、自分の話を聞いてくれるから良い人認定しちゃうんですよね。そういうところは可愛いです笑