千年女優

0.5ミリの千年女優のレビュー・感想・評価

0.5ミリ(2014年製作の映画)
3.5
介護ヘルパーとして働く女性で、介護先でどうしてもとの願いで寝たきりの老人と添い寝するも事件に巻き込まれて職も家も失った山岸キワ。行く宛なく街を彷徨う彼女が、介護経験や押しの強さを活かして活かして天涯孤独で盗みを働く男や「先生」を自称する認知症の妻を介護する男ら孤独な老人の家を渡り歩く様を描いたドラマ映画です。

俳優の奥田瑛二とエッセイストの安藤和津を両親に持ち自信も監督や作家として芸能界を歩む安藤モモ子が自身の介護経験に着想を得て書き上げた小説を自らの手で映画化した2014年公開の作品で、主演に据えた実妹の安藤サクラを津川雅彦や坂田利夫に柄本明といった多彩なキャストと盛り立てると多くの国内映画賞にノミネートされました。

自らの体験から得たインスピレーションを余すことなく詰め込んでいて、3時間超とたっぷりの尺で人と人との一期一会とそれによる0.5ミリの距離感が生む摩擦を描きます。ボリューム故の散漫さやその逆で台詞に頼る拙さもありますが、サクラの持つ独特の存在感が寄る辺なき者たちのそれでも生きねばならぬ業の共鳴を生んでいる一作です。
千年女優

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