千年女優

ガールフッドの千年女優のレビュー・感想・評価

ガールフッド(2014年製作の映画)
3.5
パリ郊外に暮らすアフリカ系移民一家の長女で、兄の暴力に耐えながらひとり親で仕事に追われる母親に代わって妹たちの面倒を見るマリエム。そのせいもあって学業がおぼつかずに担当教師から進学不可を突きつけられて自暴自棄になった彼女が、不良グループの少女たちと付き合い始めることで得る高揚と混乱を描いた青春ドラマ映画です。

イタリア系フランス人の女性監督で繊細な人物描写で高く評価されるセリーヌ・シアマが、パリで見かけるギャングの少女たちの物語を描こうと脚本から手掛けた2014年公開の作品で、後に脚本賞を獲得するカンヌ国際映画祭で公開されると批評家からの支持を得てその年のセザール賞に主演のカリジャ・トゥーレと共にノミネートされました。

少年少女が思春期にある背徳への憧れを満たすお話自体は珍しくない定型的なものでも、シアマらしい人物の心情変化を逃さないスタイルにトゥーレを始めとしたキャストが等身大の演技で応えます。お馴染みの物語故に予想外の展開はありませんが、少女たちの日常に暴力や脅しが隣り合わせにある現実と繋がりの一抹の希望を描く一作です。
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