このレビューはネタバレを含みます
ここまで心動かされる作品も久しぶり。
まんまと泣かされた。
スティーブは暴れてしまっても、冷静になってからはきちんと謝っているのを見て切なくなった。
彼は言動を制御したくても出来ない。自分の意志の通り動いたり話したりする、という人並みの自由が奪われている。
そんな状況でも彼は「僕は自由だ!」と自分の人生を生きている。
スティーブが根本的には卑屈にならずに、生きる強さを持っているのは凄いと思うし、そのことは彼やダイアンにとって救いなのかも。
ダイアンが一度スティーブに罵声を浴びせたところが印象的。
彼女も完璧じゃない一人の人間。愛情だけでは越えられない壁もあるし、愛していても嫌なことしんどいことがあるのは事実。
ただ、愛情がなければ簡単に手を出せるし見捨てることもできる。
愛しているからこそ、息子にエネルギーも感情も使ってしまうのだと思う。
暴れたり感情的になったりするだけでなく、良かれと思ってやったことすら台無しにしていくスティーブ。
ダイアンに愛情があるからこそ、そんな彼を認めてあげられる。
そう考えると、懸命にスティーブを育てる彼女は本当に強いと思うと同時に、親子愛の偉大さを痛感。
ダイアンも母親としては健全じゃないところがある。それでも一心に愛してくれる息子がいるから、そこに縋り、身を委ねてる部分もあると思う。
お互いを心身ともに助け合い、そして愛し合う二人。
「私たちには愛しかないでしょ」
二人にどんな障害が現れても、幾度となく越えてこれた理由は、結局のところこの台詞に詰まってる気がする。
あとダイアンが、普通の人生を歩む息子の姿を妄想してるのも切なかった。
自分の当たり前は当たり前じゃないんだなってハッとさせられる。
このレビューを読んでくれる方に申し訳ないくらい長くなってしまった…
でもそれぐらい色々考えさせられたし、感傷的になった作品だったな……