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ターナー、光に愛を求めてのらいちのレビュー・感想・評価

ターナー、光に愛を求めて(2014年製作の映画)
3.0
新作DVDレンタルにて。
1800年代初頭に活躍した英国画家、ウィリアム・ターナーを描いた伝記映画。マイク・リーの新作であり海外での評価も高かったので楽しみにしていたが、やや肩透かしだった。「見ていて楽しめる」いつものマイク・リー映画とは違い、ターナーという男の人物像や、彼の芸術性の解釈に焦点を置いた内容だった。どこを切り取っても絵画のような当時の風景は目に楽しく、悲喜劇を交えた当時の美術界の人間模様は興味深い。また、ターナー演じるティモシー・スポールの多彩な名演に、一世一代のハマり役と評された理由もわかる。しかし、普段まったく馴染みのない絵画アートに密着している男の生き様は、理解や共感するには難しく、魅力と感じる点も少ない。起伏よりも平坦なストーリーは150分という長尺をもたせるには不足。
ターナーを描く上で映画では3人の女性が登場する。ターナーが扶養を放棄した内縁(?)の妻、ターナーの召使で時に慰みの対象となる女性、ターナーが恋に落ちて後の伴侶となる未亡人の女性。映画の中盤から最後まで、3人目の女性との平穏な夫婦の営みが描かれるが、ターナーに捨てられた格好となった、2人目の召使にもターナーへの愛情があったことを示唆するシーンがラストに差し込まれる。マイク・リーらしい眼差しを感じた結末だった。
【60点】
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